第125章

島宮雪乃は背後に立つ女へ視線を流した。

女は仮面をつけ、パーカーのフードを目深に被っている。その厳重な変装のせいで、素顔はまったく窺い知れなかった。

雪乃が知っているのは、相手が天瀬という姓であること、莫大な財力を有していること、そして自分と同じように島宮奈々未を憎悪していることだけだ。

先日のチャリティー晩餐会で雪乃が恥をかかずに済んだのも、この女が資金を援助してくれたおかげだった。

「天瀬のお嬢様、それは少し難しい相談だわ。以前、渡辺隆也を使って島宮奈々未を社会的に抹殺しようとしたんだけど、逆にこっちが痛い目を見てしまったの」雪乃は留置場で過ごした屈辱の日々を思い出し、奈々未への...

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